RSウイルス感染症

子どもの気管支炎、細気管支炎、肺炎の原因の30-40%がウイルス性で、約10%が細菌性といわれています。RS(respiratory syncytial)ウイルスは、乳幼児の呼吸器感染症としては最も頻度が高いもので、2歳以下の乳幼児が集団生活をしている保育所では、肺炎、気管支炎、細気管支炎に要注意の感染症です。

病気の基礎知識

RSウイルスは、寒冷期(11月頃から初春まで)に流行し、飛沫、接触感染します。90%以上の乳幼児が、2歳の誕生日までにRSウイルスに感染を受けていると言われています。その後も再感染を繰り返していきます。

症状

4-5日の潜伏期間を経て、多くの場合は鼻汁程度のかぜ症状が現れます。6ヶ月未満の乳児は、時に細気管支炎を起こし急激に重篤になることがあります。細気管支炎を起こすと、発熱、咳、鼻汁に加え喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音)が聞かれるようになり、陥没呼吸などの呼吸困難症状が現れます。また食欲もなくなりぐったりします。チアノーゼや顔色が悪くなるなどの急激な悪化もありますので、その場合は入院が必要となります。
*陥没呼吸:肩で息をして、胸部が上下する呼吸
*鼻翼呼吸:小鼻がふくらむ呼吸

治療と経過

鼻汁のRSウイルス迅速テストで確定診断が可能です。軽症例では、自宅安静、水分補給、発熱や咳に対する対症療法を行います。6ヶ月未満の乳児のRSウイルス感染症は、急激な悪化に備えて入院経過観察を行います。特に低出生体重児では、無呼吸発作、突然死の原因にもなるため要注意です。
*幼児・児童以上でのRSウイルス感染は、咳や鼻汁など風邪と同じような症状です。感染を広げないためにマスクの着用、うがい、手洗いなどの基本的な対策を行います。

予防するには

早産児などのハイリスク児には、RSウイルスに対するモノクローナル抗体(シナジス)を流行期に定期的に注射して予防、軽症化を図ります。

シナジスって?

シナジスはRSウイルスに結びつく抗体として働き、RSウイルスの増殖を防ぎRSウイルス感染症から赤ちゃんを守る働きをします。

RSウイルス感染症が重症化しやすい赤ちゃんや子ども達に使用されます。

1)早産児
在胎28週以下で出生し、RSウイルス流行開始時に12ヶ月齢以下のお子さん
在胎29-35週で出生し、RSウイルス流行開始時に6ヶ月齢以下のお子さん

2)慢性肺疾患
過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症などの呼吸器疾患の治療を受け、RSウイルス流行開始時に24ヶ月齢以下のお子さん

3)先天性心疾患
RSウイルス流行開始時に24ヶ月齢以下のお子さんで血行動態に異常のあるお子さん
早産児、先天性心疾患のお子さんに加え、新しく適応拡大されました

1)RSウイルス流行開始時に24ヶ月齢以下のダウン症候群のお子さん
抗体をつくる力が弱い、心肺機能が弱いなどの理由から

2)RSウイルス流行開始時に24ヶ月齢以下の免疫不全を伴うお子さん
抗体をつくる力が弱い、免疫機能が低下などの理由から

ともにRSウイルス感染症の重症化を抑制することが目的となります。

投与方法:
大腿前外側部に筋肉内注射
お子さんの体重によって注射量は変わり、投与量によっては2ヶ所に分けて投与します。

投与スケジュール:
RSウイルス流行期間に月1回のペースで投与します。

注意事項:
①RSウイルス感染症に罹患してもシナジスの投与は継続します。
RSウイルス感染症は再感染を来たしやすく、流行期にはシナジス投与を継続して投与します。
②他のワクチンとの接種スケジュールを変更する必要はありません。
通常の予防接種とシナジス投与は別と考えられています。例えば同日に他のワクチンを接種し同日にシナジス投与は可能です。
③シナジス投与は乳幼児医療費支給制度により助成され、健康保険の適応を受けています。
自己負担額はありませんが、保護者の所得制限を受ける場合があるので各自治体へお問い合わせください。